Looker Studio(旧 Googleデータポータル)の利用時に、コネクタの実行前後や不適切なリクエストでエラーが起こることがあります。それぞれのエラーには原因があり、対処するにはその理由を明確にすることと、Looker Studioの仕組みを理解することで、正しい処理が可能となります。本記事では、Looker Studioでシステムエラーが起きる原因と解決方法、エラーメッセージが出る仕組みや適切な対処方法について解説します。これらを理解することで、ストレスのないLooker Studioの活用にお役立てください。
2022年10月、GoogleデータポータルはLooker Studio(ルッカースタジオ)に名称変更しました。当ブログ内で随時新素材へ変更中でございますが、記事内におけるLooker Studio(旧 Googleデータポータル)の説明内で一部旧データポータルのインターフェースが掲載されている場合ございます。ご了承いただけますと幸いです。
Looker Studio(旧 Googleデータポータル)でシステムエラーが起きる3つの原因
Looker Studio(旧 Googleデータポータル)でシステムエラーが起きる原因は、一般的に以下の3つが考えられます。それぞれ詳しく解説します。
1.コネクタ内部に問題がある
Looker Studioと、特定のデータのプラットフォームや、システム、サービスにアクセスするコネクタの内部に問題がある場合は、それらとの接続の実行中に起こります。例えば、一時的なエラーやタイムアウトでURL の取得に失敗する、リクエストした期間のデータが存在しない、API のデータが解析またはフォーマットできない、承認トークンが取り消されているなどのエラーが発生します。複数起きたエラーは、それぞれに異なる解決法が必要になることもあるので全て把握しておき、以下の「Looker Studioのシステムエラーを解決する5つの方法」で説明する手段で対処するようにしましょう。
2.コネクタ外部に問題がある
コネクタの外部に問題がある場合は、コネクタの実行後に起こります。例えば、「getData()」 で3つのフィールドへのアクセスをリクエストしたにもかかわらず、2つのフィールドしか表示されない場合は、外部エラーと考えられます。これは、コネクタは正常に完了しているものの、Looker Studioのリクエストが実行されていないことになります。外部エラーを解決するには、エラーの詳細情報を確認して、コードのバグや欠陥を発見するデバッグを行って原因を特定する必要があります。エラーの詳細情報を確認するには、管理ユーザーの場合は、エラー メッセージ、エラーの種類、スタックトレースなどが表示されるので、全ての詳細情報を知ることができます。管理ユーザーでない場合は詳細情報は表示されないので、全てを確認したいなら、Apps Script「newUserError()」を使うことで解決します。
3.Looker Studio(旧 Googleデータポータル)に問題がある
コネクタではなく、Looker Studio自体に問題があるケースも想定されます。例えば、日時のディメンションが無いデータソースを利用して時系列グラフを作成しようとすると、エラーとなります。このような場合は、以下の手段で対処するほか、ヘルプセンターにアクセスして、必要な情報を探して解決するようにしましょう。
Looker Studio(旧 Googleデータポータル)のシステムエラーを解決する5つの方法
続いて、システムエラーが起きた場合の、一般的な5つの解決方法を説明します。
対処法1.キャッシュを削除(スーパーリロード)する
Looker Studio(旧 Googleデータポータル)では、レポートのパフォーマンスを向上させるためキャッシュを利用しており、このキャッシュを削除することで、エラーが解決することがあります。いわゆるスーパーリロードする方法で、Windowsの場合は、Crtl + F5、Mac の場合は、Command + Shift + Rで対応します。
対処法2.指標を置き換える
Looker Studioのフィールドのひとつである「指標」を別のものに置き換えることで、エラーに対処できることもあります。Looker Studioと接続するGoogleアナリティクス、Google広告、YouTubeなどのデータセットからのデータは、すでに集計・加工されたデータになっています。例えば、Looker StudioでCTR(クリック率)などの Google 広告指標をリクエストすると、CTRなどの比率は、2 つ以上の値の相対的な大きさ(CTR=広告がクリックされた回数を広告の表示回数で割ったもの)という適切な集約タイプにすでに処理されたデータであり、こうした集計済みの指標を利用すると、エラーが起きることがあります。そのため、CTRではなくクリック数を使うなど、比率以外のフィールドを選択することで、解決することもあります。
対処法3.違うフィルタを適用する
任意の条件でデータを絞り込むことができる「フィルタ」を使用している場合、上記の「指標を置き換える」と同じ理由でエラーが起こることがあります。その場合はフィルタを解除する、またはほかのフィルタに変更することで解決できることもあります。
対処法4.エラーをスローする
例外処理を意味する「エラーのスロー」を行うと、解決することもあります。この場合は、事前に例外に該当するエラーを明らかにしておく必要があり、前述した方法で、エラーの詳細情報を確認しておきます。例外オブジェクトが作成された後に、「throw」キーワードで処理をします。複数の例外が発生する可能性がある場合は、例外をカンマ区切りで列記します。
対処法5.Stackdriverに記録する
「Stackdriver」(Google Cloud のオペレーション スイート)を利用して、エラーを記録することにでエラーの詳細がわかり、問題を解決できることもあります。Google Cloud環境下で、Stackdriver Error Reportingやスクリプトの例外ロギングを有効にしておくと、アプリケーションのパフォーマンスをモニタリングして、トラブルシューティングの実施やパフォーマンス向上などのサポートが得られます。
【内容別】Looker Studio(旧 Googleデータポータル)でエラーメッセージが出る場合の対処法
「比率指標を集計できませんでした」とエラー表示される場合
前述したように、Looker Studio(旧 Googleデータポータル)で利用する比率などのフィールドは、他のプラットフォームですでに集計・加工されたデータなので、このメッセージが出るのは、「集計済みの比率指標を使っては実行できないことをリクエストした」ということです。例えば、比率指標を含むグラフに、計算フィールドに基づくフィルタを適用したときなどに表示されます。比率以外のフィールドに変更して、対処するようにしましょう
「このデータソースが正しく設定されていません」とエラー表示される場合
ユーザー側の設定エラーとして「このデータソースが正しく設定されていません」が出る場合は、フィルタ設定を行っている場合に起こりやすいエラーです。フィルタで指定した条件が、リクエストとそぐわない場合に表示されます。この場合は、フィルタを解除・変更するか、レポート編集画面の右側の「データ」>「集計行」のチェックをはずすと解決します。
エラーが出るはずの計算式で更新してしまう場合
計算フィールドの計算式入力で、本来は集計値と非集計値は同じ計算式内で混在させることはできないのでエラーが出るはずですが、更新できるケースもあります。その後、改めてその関数を利用する場合にエラーが出て、対応できないことがあります。その場合は、キャッシュを削除した更新(スーパーリロード)を行うと、おおむね解決できるので、試してみてください。
「このデータセットへのアクセス回数が多すぎます」とエラー表示される場合
2「割り当てエラー」「このデータセットへのアクセス回数が多すぎます」とエラー表示されるケースが2022年11月以降頻発しています。このエラーはLooker Studio(旧データポータル)のデータソースにGA4(Googleアナリティクス 4プロパティ)を利用している場合に生じます。前提として、GA4をデータソースとしてLooker Studioレポートを作る場合、【GA4 API】というAPIを通じてデータを取得しています。このGA4 APIの利用について、2022年11月にリクエストの上限設定が新たに加わりました(参照:Google公式からのアナウンス)。この仕様変更により、従来はほとんど引っかかるケースがなかったGA4 APIのリクエスト上限超過に関するエラーが生じています。簡単に整理しますと、Looker Studioのグラフ要素が多くなるほど、データ取得期間が長くなるほどにAPIリクエスト数が増えるためこのエラーが生じやすくなります。
「このデータセットへのアクセス回数が多すぎます」の対処方法
このエラーへの対処方法は5つあります。いずれもリクエスト数を減らす方向性での対処方法となります。
- グラフ要素を減らす:グラフの要素数を減らすことで、リクエストの絶対数も減らすことができます。
- レポートの参照期間を減らす:レポートで参照している期間をより短くします。参照期間が長いほど、データ量は増えます。
- レポートの閲覧数を減らす:レポートにアクセスするたびにAPIリクエストが発生するため、レポートを見るメンバーや回数を減らします。
- BigQueryを使う:GA4からLooker Studioに直接連携するのではなく、GA4からBigQueryにデータを流し、BigQueryからLooker Studioに連携することでこのエラーを解消できます。
- データの抽出機能を使う:Looker Studioのデータソースコネクタに「データの抽出」というコネクタがあります。この「データの抽出」を利用することで、リクエスト数を減らすことができます。現状最もおすすめの方法です。
- アナリティクス360プロパティにアップグレードする:有料版の「アナリティクス360」にアップグレードすることで、リクエスト上限の制限を突破できます。
上記対処方法において、追加予算と工数をなるべくかけないという観点では「グラフ要素を減らす」「参照期間を減らす」「データの抽出機能を使う」対処方法が現実的でおすすめです。
データの抽出機能の使い方については以下の記事で詳しく解説をしています。
Looker Studio(旧データポータル)でデータを抽出する方法 – GA4 API 割り当てエラーを解決
まとめ:Looker Studio(旧 Googleデータポータル)のシステムエラーが出たら、まずはスーパーリロードを
Looker Studio(旧 Googleデータポータル)のシステムエラーにはそれぞれ原因があり、パフォーマンス向上のために利用しているキャッシュが影響しているほか、他のプラットフォームから接続した集計・加工済みのデータが、リクエストと合わない場合に多く発生します。エラーが出たら、まずはキャッシュを削除して更新するスーパーリロードを行い、それでも改善しない場合は原因を明確にして、上記を参考に対処してみましょう。
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